こんにちは、放射線技師夫婦の部屋で待ってました!
夫のこうくんと嫁のきゅうです。
それぞれの経験を踏まえて、有益な情報を発信出来たらと、日々努力をしているので是非ご覧ください
それでは、私たちが就職後に、とても苦労したX線撮影
膝のレントゲン撮影のコツ
について、教えていきます。
いろんな書籍や文献を探せば、たくさん出てきますが、
どれも勉強をしてるような気持ちになって、
読むのを断念してしまいますよね!
図解を合わせながら、見ていけるようにしているので、参考にしてみて下さい!
「膝の写真上手いね~」と言われた放射線技師夫婦が、コツを教えます。
それでは行ってみよう!
膝の撮影の種類
膝の一般撮影は、たくさん種類があり、また需要が高いです。
CTの方が診断能が高いけど、
X線写真も、手術計画や機能評価、救急診断でとても有効的な撮影となっています。
撮影方法は次に話します!まずは、膝のレントゲン撮影といえば、何があるか知っていきましょう。
気になるのがあれば、開いてみて下さい。
膝3方向
多分一番Drからのオーダーが多いのが、これでしょう!
- 正面撮影
- 側面撮影
- スカイラインビュー(膝蓋骨軸位撮影)
むしろ、これ以外撮影しない病院も多々あります。
私のところは個人病院なので、これだけで大丈夫でした!
ストレス撮影
整形外科が入っている病院かつ、靭帯系のオペをするときは、よく撮影するものです。
間違って、足を痛めないように、器具を使うか、整形Drと同伴で撮影することが多いです。
たまに、透視下で撮影することも、、、
放射線技師の性格が出ます。
酷い人は、患者をすごい痛めつけてでも荷重を加える人がいます、、、
膝蓋骨3方向
膝3方向の撮影方法と全く同じですが、目的部位が膝蓋骨に限定したものになります。
こけた時に、ひざを打ちつけ、膝蓋骨が割れてしまったときに撮影します。
側面は少し線量を落として、膝蓋骨が明瞭になるようにしましょう!
立位膝2方向
起立時(加重+)の状態で撮影します。
- 正面撮影
- 側面撮影
膝3方向の、起立ver.なので説明は割愛します。関節が見やすくなるように、ポジショニングしていきましょう。
ローゼンバーグ撮影
しばしば、英語(Rosenberg)で表記される病院もあります。
軽く空気椅子をして、膝に負荷をかけて撮影します。
エピコンディーラービュー(Epicondylar view)
座った状態に足首に重りをつけ、足を下に引っ張った状態にします。
ここで膝関節が少し開くので、これを見やすいように撮影します。
膝のレントゲン撮影の注意点
まず大前提に理解してもらいたいのは、
膝の撮影をするということは、膝が痛いということです!
無理に動かすと、骨折していれば血管やリンパ、神経などを傷つける可能性があります。
脂肪組織が血管に流入してしまうと、脂肪塞栓による肺塞栓症を起こし、命の危険があります。
骨折の疑いがあれば、あまり動かさなくても良い正面撮影を撮影して、骨折線が見えるか確認しましょう!
患者対応がひどい私の先輩は、無理に動かして脱臼させたことがあります。
それでは、撮影のコツを教えていきますね!
膝のレントゲン撮影法とコツ
膝の撮影方法を知ることも重要なのですが、膝が痛い人は膝関節の変形が見られ、教科書通りに撮影してもなかなかうまくはいきません。
それが、新人が苦労する原因なのです。
是非、撮影方法とコツを知って、実践してみて下さい。
膝3方向
膝側面撮影は、一番新人が苦労する撮影で、しっかり解説したいので別の記事にまとめます。
側面が上手く行かないという人は下の記事を参考にしてみて下さい
正面撮影
- 体位
-
臥位
- 確認点
-
膝蓋骨がほぼ大腿骨の中心に投影されている。
腓骨の近位端の骨頭が、半分脛骨と重複している。
膝蓋骨の位置と脛・腓骨の重なり具合が全てです。
太りすぎていなければ、
大腿骨の内外顆側壁と膝蓋骨
を触ってポジショニングをするよ!
コツとしては、図のように
- 両手の親指で膝蓋骨を左右から挟む。
- 両手の親指以外で大腿骨の内踝と外顆を触る。
- 膝を上から見ながら、双方の親指の中心が、その他の指で挟んでいる膝の中心に重ねる。
結構あるあるで、膝蓋骨を中心にしても、腓骨の重なりが強すぎたり、、、
どっちを正面に合わせるかは、整形外科Drの好みに分かれます。
が!「そんなん正直知らんわ!」という話なので、とりあえずは膝蓋骨を中心にしましょう。
その方が、写真としての見栄えがいいからです。
ちなみ、整形外科Drに聞くと
手術では脛骨に合わせてプランニングするので、
Drから依頼があれば脛骨正面を心がけましょう!
側面撮影
- 体位
-
側臥位
- 確認点
-
大腿骨の内外顆の重なりが7㎜以下➜ある程度は許されることが多い
こうくんこれは放射線技師の性格が出るんだよね(笑)
きゅう教科書的に他にも確認点はあるけど、職場では内外顆の重なりしか見られないから、大丈夫!
膝側面は、どんな膝だろうと大腿骨内外顆が揃って見えたらOKです!
最近は、少しずれてても整形Drは、不満を言いません。
ある程度揃えるように心がけましょう。
きっちり揃えようとするのは良いんだけど、
大きな病院は患者が多くて回らなくなるから、
時間との兼ね合いを考えよう!
- 対側の手で内顆を親指、他の指は外顆を触る。
- 同側の手は下腿を持ちます。
- 膝を上から見て、親指(内顆)と他の指(外顆)が地面に対して垂直になるように意識します。
内外顆を揃えるときは、
- 上下方向は下腿骨の上げ下げ
- 左右方向は、患者のおしりを回す
- 難しければ、斜入する(上級者向け)
と上手く行きます。
スカイラインビュー
- 体位
-
臥位
膝の下にクッションを入れる
FPDは患者に持ってもらうか、専用支持具で膝の後ろに設置
- 確認点
-
大腿骨と膝蓋骨の間接が広く見える 変形して関節がめっちゃ狭い高齢者が多い
膝蓋骨が、しっかり軸位に投影されている
- 動態撮影
-
膝専門の整形外科Drが在籍しているなら、膝の動態(膝蓋骨の脱臼)撮影をするかも
多くの場合は、30度、60度、90度に指定される
こうくん膝の角度の精度はきっちりする必要なし!
それよりも、伸ばした時と曲げたときの
膝蓋骨の位置が見えたら、十分だよ。 きゅう私の病院では、救急外来はあるけど、整形外科Drがいないので撮影したことがないな。
撮影のコツは、自分の感覚に委ねること。
教科書通りの角度に、きちっと合わせ撮影してもいいけど、
上手く行かないことが多いのでおすすめしない!
理由:膝が悪い人は膝蓋骨の関節も狭く変形しているから
コツは、
- 膝を適当に曲げる。
- 膝蓋骨の頭尾側端を触ってどんな角度が見る。
- 「このくらいかな」と思う②の角度ぐらいで、X線管球を動かし斜入して撮影してみる。
正直、少々角度がずれてもそれなりに良い写真が出ます!
トライが大事
ストレス撮影
膝のストレス撮影は、専用の器具(テロス装置)を使って膝に荷重を加えたり、整形外科Drが持って撮影します。
靭帯が損傷していると、荷重を加えた時に膝関節が異常に開きます。その動きを写真で確認します。
- 正面撮影
-
内外反を行います。
側副靭帯の損傷を疑う際の撮影です。
- 側面撮影
-
前後方引き出し方向に引っ張り荷重を加えます。
前十字靭帯(ACL)・後十字靭帯(PCL)の損傷を疑う際の撮影です。
きゅうDrは、略称で靭帯の名前を覚えているので知っておくと役立つよ
MRIでも、靭帯を見るので良く使う言葉だね!
コツとしては、
- ストレス撮影は、関節の動態を見るだけです。普段の様な綺麗な写真は求められないので、それなりで撮影する。
- 器具を使う場合は、患者が痛いと言えば、荷重をすぐやめること。間違って靭帯を切ってしまわないようにしましょう。
- Drとやるときは、照射野を広めにしておき、ポジショニング時に少し動いても良いようにする。また、正面も側面も2回はストレスを掛けて撮影するので、出来るように準備しておく。
ローゼンバーグ撮影
- 体位
-
カセッテ面から、半歩後ろに下がり、膝を曲げて(おしりを落として)カセッテにつくようにする。
- 注意
-
基本、膝がすごい痛い患者ばかり。
痛いのに、空気椅子をさせるから、転倒時の骨折に細心の注意を払う。
痛みが強い場合は、足を曲げなくても良い。
また、起立自体が危ない患者は、整形外科Drに確認して、撮影中止にする。
- 確認点
-
脛骨内顆の関節が綺麗に抜けていればOK
こうくん整形外科Drは、O脚が多く、脛骨の関節の内側を見ているので、合わせてみてね!
きゅう結構、変形してて、内外顆で関節が抜ける角度違うよね。
教科書のように膝の角度は気にしなくて、大丈夫。
軽く両膝を曲げて、少しおしりを下に落としてください
この説明で大体伝わりますし、ちゃんと膝に荷重が加わります。
そして、10度前後頭側から斜入します。
コツは
- 膝が悪い術前の人は、少し斜入角度を小さくする(7度前後)
- 人工関節を入れた術後の患者は、少し斜入角度をきつくする(13~15度程度)
健常者:横から見ると脛骨関節面が少し後傾している
術前:脛骨関節面(特に内顆)がすり減って、後傾角度が緩くなっている
術後:人工関節を入れて、脛骨関節面の後傾角度を直すので、結構後傾してる
エピコンディーラービュー
これは、意外と難しい撮影なんです。
いまいち、撮った写真を見ても、次どう修正していいか分かりにくいです。
- 体位
-
足が浮くぐらいの台に座る。
膝の前にFPD
足首に2kg程度の重りを付ける
こうくん僕のところでは、手首や足に巻いて、荷重して筋トレするようのものを使ってるよ~。
- 確認点
-
脛骨の関節面が綺麗に抜けていること
関節が広く見えること
膝正面の状態であること
これを撮影するときのコツは
- 下腿が地面に対して垂直になる程度まで深く座ってもらう
- 尾頭方向に13度程度、斜入
- 脛骨の関節面が抜けなかったら、±3度変更して合わせる これ以下だと、変更前後で関節面の動きが見えにくい
慣れてくれば、横から見て
脛骨関節面が「このくらいの角度かな」と予想できるようになるよ!
まとめ
整形領域の撮影は、患者さんも痛みを伴うことがしばしばあります。
仕事していて疲れもありますが、出来るだけ患者に寄り添うことを忘れないようしましょう。
また、膝に関しては、教科書を参考にしてポジショニングしてもなかなかうまくいきません。
今回話した内容を、思い出しながら撮影して、体感で覚えていくことが近道です。
この体感が、救急撮影で再度役に立つので、頑張ってみて下さい!
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